2月25日に大東文化大学で行われた「音楽科教育でのICT活用に関する意見交換会」では、「ICT活用で進める音楽科のディスラプション(創造的破壊)」と題し、思いの丈を話させて頂きました。今回も、教員や大学の研究者、企業の代表が集まり、私のプレゼンを元に、白熱した議論が展開されました。 音楽は「心」を育む大切な学びです。そしてその学びは今まで、アナログの中でこそ成立すると信じられ、デジタルの介入を敬遠する傾向をもち続けてきました。音楽室の風景が、昭和の時代から大きく変わらないのは、人間こそが音楽をつくり出す、という絶対的な価値観が尊重される中で、変わる必要性が無かったからなのでしょう。 しかし、時代は大きく動き、Society5.0や第4次産業革命などに対応できる人材を育てていく事を名目に、学校教育が大きな変革の時を迎えようとしています。そして、英語教育やプログラミング教育などの新しい学びが取り入れられる中で、時間を確保するために、既存の教科の「存在価値」が今、問われ始めようとしているのです。 そんな教科の存在価値を高めていくために、今後はすべての教科において、「ICT」の活用が必須となってきます。いくら音楽が、芸術教科だ、技能教科だ、心を育む教科だ、といっても、「手段」としてそれらを積極的に活用していくことは、教科の存続のために避けて通れない「教科に課せられた課題」なのです。 音楽が人間形成にとって大切なものであると信じるからこそ、未来の学校に音楽という教科を残していくために、今、我々はアクションを起こさなければならない、と思っています。そして、音楽という教科の「本質」を守っていくために、たとえ私の進めようとしていることが「方法論」であったとしても、「新しい学びの方法を知る、創る」ことが、音楽科には求められていると信じ、そのために自分にできることをしていこう、と思っているところなのです。